「……あたしのこと嫌いになってない?」
シュークリームを一口かじった後、意を決して聞いてみた。
瑠伊はうそはいわない。
言いたくない、は使うけど。
でも不安でしょうがなかった。
陽からの言葉がほしかった。
「……嫌ってない。むしろ、勝手に聞いてごめん」
大好きなシュークリームを食べる手を休め、あたしの質問に答えてくれる。
それだけでいい。
「ううん。聞いてもあたしを嫌いにならないでくれてありがとう。大雅も、二回も助けられちゃったね」
「ラーメンで勘弁してやる」
みんなみんな、優しい。
この優しさに甘えないようにしよう。
もうこのヤンキーたちから離れようとするのはやめた。
だって無理だもん。
あたしはきっと彼らを切り離せない。
諦める事を諦めた。
「カップラーメンでいい?」
「馬鹿野郎、高いやつだよ。お前一番金持ちだろ。ラーメン屋くらいくれよ」
「無理だよ」
こんなふうに自分の家庭環境を笑って話せる日がくるなんて思った事なかった。
本当にありがとう。



