「……」
いつまでたっても何も話さない陽。
逆に不安になるのはあたしだ。
どう考えても嫌われたって方向にいっちゃう。
落ち込んで、亜美が目線を陽から外した瞬間、陽の背中を優真君がすごいはやさでたたいた。
バァン!!!
「いてっ!」
さすがの陽もめちゃくちゃ痛そう……。
「心配しないでね、陽は照れてるだけだから」
「は?」
優真君の、清々しい笑顔が逆に怖い。
「っば!おまっ!ちょっ!」
陽、言えてないよ。
「照れてるだけだから。久しぶりに亜美ちゃんと話すもんだから、何話したらいいかわかんないんだよ。それに、ねぇ?」
なんだそね意味深な発言は。
「優真、勝手に何でもくっちゃべってんじゃねぇよ」
陽が怒っているが今の陽は全然怖くない。
「……亜美、」
「ん?」
「…………シュークリーム、食べようぜ」
「……うん、」
なんだこの変な会話は。
まるで小学生。
「みんなで食べようか」
優真君の言葉で、真剣な顔をしていたみんなが笑顔になった。
この世に笑顔を取り戻すのは食べ物だな。



