どういう経緯で瑠伊から話を聞いたのかはわからいし、聞こうとも思わない。
けれど、気になる。陽たちの反応が。
「あ、のさ、陽は何て言ってた?」
「忘れた」
また言いたくない……か。
「でも亜美を嫌うような奴等じゃないよ」
それを聞いて安心した。
嫌われたんじゃないか、そう一瞬でも疑ってしまった自分がすごく恥ずかしい。
「辛いかもしれない、思い出せなくてイライラするかもしれない、でも陽君たちには八つ当りはいけないよ」
「しないよ」
父さんの言葉は冗談も含まれている。
「俺らは家族だから、いつでも頼ればいい。亜美の悩みくらい背負ってやれる」
こうやって全力であたしの居場所を作ってくれる瑠伊。
「うん、家族だもんね」
「失礼ながら、私も家族にいれてくださいませんか?」
忘れていたころに佐伯さんは声を発した。
「……もう家族でしょ?」
隆の言葉に佐伯さんは笑顔になった。
あんまり見れない貴重な佐伯さんの笑顔。
いつもそんな顔してればいいのに。
まぁ、それはそれで気持ち悪いか。



