「覚悟ができてるかっていわれればよくわかんない。どれくらいの覚悟を用意しとけばいいかわかんない。でも、聞きたい。それだけじゃダメかな?」
二人、いや、多分武も、佐伯さんも、みんながあたしを守ろうとして隠してきたこと。
その善意をあたしは裏切ろうとしているのか。そう考えると胸が痛む。
「……本当にいいんだね?あまり気持ちのいい話ではないからね」
普段はなかなか聞けない父親の真剣な声。
いつもはおちゃらけてるくせに。
「大丈夫だよ……、聞きたい。お母さんのことだから」
隆と瑠伊はもう一度顔を見合わせた。
そして覚悟が決まったのか、瑠伊が話し始めた。
「あの日、俺らは――…」



