失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




「す、き……だよ。俺は」


陽には珍しく擦れ声だ。
しかも瑠伊から目が離せない。


亜美と同じ色の瞳から。


特別珍しい色ではないが、なぜたか引き付けられる。


亜美もそんな目をしていた。


「俺も亜美ちゃんはかわいくて、一緒にいて楽しいから好きだよ」


優真もちゃんと答えた。


「……俺も」


颯太だって答えた。


「ここにいるやつで、亜美を嫌いな奴はいない。あいつに何かあったら俺たちが守るさ」


陽の言葉に瑠伊は笑った。


「それと同じさ」


思い知ればいい。


「俺だって、亜美の幸せを願ってるから、何かあったら俺が守るって気持ちなんだよ。そんて、今がその“何か”にあたるわけだよ」


瑠伊が亜美を想う気持ちは、姉に抱くそれとは少し違うかもしれない。


だがそれは2人が育った独特な環境のせいであり、少し過剰なだけで、異常ではない。


「あんたらは、亜美を簡単に傷つける」


その言葉一つ一つを亜美は、受け止めるんだ。


自分が傷ついていることも知らないで、こいつらに心をズタズタにされていくのかもしれない。