それを言うと颯太は雑誌を閉じた。
「亜美絡み……だな」
「当たり前」
頭悪そうな顔して、案外察しはいいな。なんて失礼なことを思った瑠伊。
「ただいま」
独特な優しい声の優真がコンビニの袋を持って帰ってきた。
「あら、お客さんだな……しかも亜美ちゃんにそっくり」
なんてのんびりなんだ。
特に焦る様子も見せないで優真は笑った。
なんとなく気が付いているのかもしれない。
亜美に関係ある人だ、って。
「亜美の双子の弟だと」
「おー!どうりで似てるわけだ」
さっきもしたような会話。
それに瑠伊は何も言わなかった。
――慣れた。
あの深瀬亜美の弟だと、何度言われたことか。
瑠伊は瑠伊で劣等感くらいはもっているのだ。
「陽に用事があるんだって」
「陽なら下で花壇の花を植えかえてたぞ」
――――心優しいな、おい
なんなんだこのギャップ。
ここが、亜美が落ち着く場所。
亜美は“落ち着く場所”だなんて言わないけど、感じ取れた。
亜美はここにいたいと思ってる。



