瑠伊は亜美が部屋に入ったのを確認すると、佐伯さんに電話をかけた。
『はい』
「亜美が、気付くかもしれない」
それだけは避けなければいけない。
『……それは、あまり好ましくない状況ですね』
「好ましくないなんてもんじゃない。俺は、今からちょっと牽制いれてくるから、佐伯、あと頼んだ」
『はい』
頼りになるとかそういうのとは少し違う。
佐伯に電話したのは亜美が、佐伯のことを信じているから。
「亜美……」
俺は、亜美に重荷を押しつけたから、だから、俺は、精一杯亜美を苦痛から助けるんだ。
俺にできる方法で。
たとえそれが亜美の嫌がる未来につながるとしても。
「いってくるか……」
瑠伊はため息を1つこぼした。
――幸せが1つ、
空気に溶けた。
俺の幸せ全部やるからさ、
もし、この世に神様なんてもんがいるならさ、
俺は、信じたことないけどさ、
もし、神様なんてもんがいるならさ、
亜美をとびっきり幸せにしてくんねぇか?
ほんと、頼むよっ――――



