この反応は……


「瑠伊は、何の事か、分かるんだね?」


その言葉に瑠伊は何も答えてはくれなかった。


その代わり、亜美とは目も合わせてはくれない。


亜美は勝手に瑠伊のこの反応から、何か知っていると判断した。


「教えて、瑠伊」


急かしてる訳じゃない。ただ知りたいの。


「……俺は、何も知らないよ」


ひどく悲しそうに彼は嘘をついた――――



その表情はずるい。


あたしに、


「そう、分かった」


あたしにまで嘘をつかせる呪文だから。



瑠伊のそんな表情みたら、あたしはそれ以上聞けないよ。


それを知ってか知らずか、瑠伊はこれを使う。


――聞くな きくな キクナ


瑠伊の体からはっせられるその感情にあたしは無理矢理笑ってその場を去った。



きっと誰もあたしの“聞きたいこと”に答えてくれる人はいないだろう。




瑠伊の反応をみて感じた。




あたしを守るためか、自分を守るためか。


それはわからないが、あたしはその“隠していること”とやらを知るべきではないのだろう。