多分聞こえてないけど、気絶したままのそいつに近づいて“悪い”と謝った。


「大雅、陽にも謝っといてくれ。んで、俺、帰るわ」


大雅にも“悪い”と謝り、そのまま帰った。


「暴れるなよ」


大雅のその言葉に大翔は反応しなかった。


「……頼むよ」


金井武は亜美の記憶を呼び覚まそうとしたうえに、陽たちにも亀裂を与えていった。




「……くそっ」


大雅はやりきれない気持ちをなんとか押し殺し、倒れている奴をおこしにかかった。


「……おい、大丈夫か?」

「…………っん、」


大雅の声に遅れながらも返事をした少年を抱き起こす。


「おい、大丈夫か?」


「……っ、あ、大丈夫です」


「……わりぃな。とにかく、帰れ」


大雅は大翔が謝っていたことは言わなかった。


ただ、こいつを自分のもとから離したかったから。


大雅もまた、1人になりたかったから。


「っ、はい、すいませんでした」


丁寧に頭を下げて、お腹を押さえつつ、ふらふらとした足取りで帰っていった。



「はぁ、なんか疲れすぎて眠たくない」