真剣なその言葉に何も言い返せない。
「大体、ありえないんだよ。あんな場所にガキ一人で行くなんて」
ああいう世界は大人の世界なんだよ。
「あいつはきっといつかいなくなるぞ」
予感とか、そういうのじゃなく、なんとなく確信していた。
“亜美はいなくなる”
いなくなるって言葉が正しいのか分からない。
「……だから、お前ら、あいつに近づきすぎんなよ」
あとから辛くなるのはお前らなんだから。
「やだね」
お茶目な陽の声が聞こえた。
「は?今の俺の話聞いて……」
「聞いてた。でも、それは俺らには関係ねぇよ。それに」
そこでいったん言葉を切った。
「大翔、お前はいつも人と距離があるよな。近づきすぎず、遠すぎず。そんな距離が」
今度は大翔が黙る番だった。
なぜなら、図星だから。
「お前は臆病すぎる」
「……っ、」
何も言い返せない。
「お前は冷静で、頼りになる。でも――」
その後の言葉は覚えてない。
そのあとの出来事が衝撃的すぎて。



