失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




案外いい人なのかもしれない。


「わぁ!おいしそうなトマト!」


こいつ……
あたしがトマト嫌いなのを知っていながら目の前にトマトを持ってくるとは。


相当あたしの事が嫌いだと見た。



「……無理は女性の体にはよくありません。私で手伝える事がありましたら、なんなりと」


たまに思う。


佐伯さんはあたしの言う事を聞くのを楽しんでるんじゃないかって。


でなけりゃこんなこと言わないだろう。


「ありがとう。まさか佐伯さんがあたしのことを女だって知ってたことに驚いたよ」


自分で言っててすごく虚しくなってきたぞ。



「とにかく、無理はしないから大丈夫。あたしが無理したことあった?」


「……記憶にないです」


「今の間は何だろう。まぁいいや。とにかく仕事に戻りまーす」


あたしは佐伯さんの顔を見ないように席を立った。


なんとなくこっぱずかしい。


心配されるなんていつぶりかな?



懐かしすぎる感覚に少し戸惑っただけ。