失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




時々佐伯さんはあたしにたいしてドSになる。


「そのような様子でしたら私が亜美さんの分も食べますよ」


何であんたが食べるんだよ。


「ちゃんと食べるよ」


「そうしていただきたいものですね」


嫌味ですか?
自分の身長が高くて、しっかり成長したからあたしを見て可哀そうとか思ってるんだ!


「亜美さん……よくわかりましたね」


どうしよう。
あたしのまわりにはあたしを大事にしようと考えてるやつが誰一人いない。


悲しすぎるだろ。


「いただきまーす」


お昼が一人なのにはもう飽きた。


誰もいない食卓で食事をしたって全然おいしくかんじられない。


あたしはさみしいのには慣れてる。


それを埋めるために妄想を覚えたんだから。


もし父さんが社長じゃなかったら。

もし兄弟が仲良かったら。

もし、お母さんが生きてたら。


全部妄想。





どれだけ妄想に慣れても、どれだけ1人に慣れても、一人の食事に慣れることはなかった。




さみしさは妄想では埋められない。




それは自分がよく知っていることだ。