失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




その日、朝ご飯を食べた後の父の行動はキモか……早かった。


気持ち悪いくらいに。


あたしはまだ食べおわってないのに、1人で「ごちそうさま」とか呟いて、佐伯さんをつれて会社に出勤した。


いつもならもっと早い時間に出社している。


もともと、一般人で母と結婚したから社長になれたなんてまわりに思われたくないから、父さんは頑張った。


毎朝一番に出社して、わからないことがあればそれが誰であろうと聞く。


そうやって会社を大きくしてきた。


そして、まちがいなく、深瀬の名を世に広げたのは父の代だった。



亜美はそんな父を尊敬しているし、
会社を継げることを心から光栄に思うと同時に、
責任感や不安に押しつぶされそうになっていた。






お昼もろくに食べなかった。

佐伯さんが呼びに来なければ、晩ご飯まで食い損ねるところだった。


「亜美さんの悪いくせです、直していただけるとありがたいんですが……」


「めんぼくない……」



しかたないじゃん。
忘れてたんだから。