一番真面目なのは陽。


意外すぎる。


「陽、がんばってるね」


「まぁ、さっき頭撫でてもらったからな」


すぐに課題に視線を戻した陽。


かわいい子だ。


頭撫でただけで、課題を頑張ってくれるならいくらでも撫でてやるよ。


「亜美、」


大翔からお呼びがかかった。

分からないところがあったのかと、期待して振り返れば、確かに分からないみたいだった。


「なぁ、生理って……」

「自分で考えろ」


うざいからこいつは放置決定。


「亜美、これなんて読むんだ?」


やっとまともな質問が来たよ。


陽の指差す場所を見てみれば、“尚早”の文字。


「これは“しょうそう”って読むの」


この字はあたしも間違えたことがあった。

“そうしょう”と“しょうそう”でいつも迷うんだよね。


「おう、ありがと」


分かったことが嬉しかったのか、少し口元を緩めた陽はとてとイケメン。


でもシュークリームが大好き。


多分ケンカ強い。


人は見かけによらないって本当なんだな。


つくづくあたしはそう思った。