そのまま颯太はあたしを引きずっていった。


挨拶すらさせてもらえる隙すらなかった。


「うごっうごしひゃす」


お邪魔します。そういいたかったのに、うまく言えない。


「あとでいつもの持っていくね」


「……あぁ、」


これにはきちんと応じる颯太。

いつものってなんだろう?

気になる。


「ねぇ、いつものって何?」


「陽達がきたらわかる」





意味が分かりません。いや、意味は分かるんだけど……



「お邪魔しまーす」


下から聞こえていたのは大雅の声。


陽達が来たようだった。


きちんと挨拶らしきものをしたのは大雅だけで、後の奴らは挨拶もしないでぞろぞろと。


颯太の部屋は家には似付かわしくないほどシンプルだった。


ベッド、クローゼット、机、本棚。


物が少ない。


入るとすぐに、彼らにはいつもの場所があるようで、場所がすぐに決まる。


亜美は余ったところにちょこんと座った。


いくらなんでも余所のいえというのはなんだか居心地が悪い。


「やるぞ」


陽の一言により、みんなが持っていたカバンから課題を出した。