颯太の家はログハウス風の建物で、玄関にかかっているランプはまるでアニメ映画に出てくるようなかわいらしい形をしていた。
「……まぁ、入りなよ」
「うん」
予想とは大きく違っていて、亜美はしばらく立ちすくんだ。
颯太の声で我に返り、一歩一歩、玄関に近づいていく。
「ただいま」
声が小さいよ。
颯太は小声でただいまを言った。
「何で?そういう週間なのウゴォ」
最後まで言う前に颯太に口を押さえられた。
めちゃくちゃ“しまった”って顔をしている。
そのときパタパタとスリッパの音が近づいてきた。
「おかえり、颯太……あれ?かわいい子ロックオン」
なんだ。この人は。
横で颯太がため息をついている。
目線で助けを求めても、無視。
「颯太の彼女?彼女?彼女?」
止まってください。
あたしじゃ押さえられない。
「違うから。みんなと勉強することなったから」
たった二言くらいでこんなに颯太を疲れさせる人はこの人以外にいないだろう。
多分。



