「んじゃ、行くか」


やっぱ俺が払う……とかあう胸キュンな展開はもちろんなくて、当たり前にあたしがお会計。


お礼を言われたことだけが唯一の救いだ。


道路を歩くときは颯太が道路側。


――優しいなぁ、


ヤンキーたちは本当にやさしい。
陽も道路側を歩いてくれる。


車の通りが多いとか少ないとかは多分関係ない。


だからなおさら嬉しくなる。

女の子扱いされる事がこんなに嬉しいなんて思わなかった。






「か、かわいい」


颯太の家につく前に強く念を押された。


「引くなよ」


どんな家だよ。


もしかしてヤ●ザさん?


そうなのか?


だとしたらかなり礼儀が必要じゃないか。


あたし、ヤのつく職業には詳しくないので、教えてください。


「多分亜美の予想の反対だから」


あたしの思考を読み取ったかのようなタイミング。



それからしばらくしてたどりついた颯太の家。



まさしくメルヘン。





「か、かわいい」



とまぁこうなるわけです。



「嫌だよ、こんな絵本みたいな家」



かわいいのに……


颯太は嫌いみたいだ。