午前中から音楽室に溜まっていたあたしたちは、お昼を過ぎた頃、颯太の家に集合になった。
「あたし、颯太の家知らないんだけど」
よく考えてみれば知らない。
「ラーメン食べに行こうぜ」
ニヤニヤしながらあたしに提案する颯太。
そういえば海でナンパから助けてもらったときに目線で約束したんだった。
「どうせ持ってくるもんないだろ?ラーメン食べてそのまま連れてくよ」
な、なんて優しいんだ!
「来々亭のラーメンおごってもらうんだからそれくらいするさ!」
なんてさわやかに言っちまうんだ。
別におごるのはいいけどさ、なんていうか、そんなストレートに言うなよ。
「……へい」
あたしは力なく返事をした。
来々亭での颯太は別人だった。
――君は誰だ
ほんとにそう問いたくなるくらい、ラーメンを食べる。
あたしの予想では猫舌で、なかなか食べられない!だったんだけど、それもなく、普通に速い。
汁も飲んじゃう。
「おいしかった?」
「あぁ!ありがとう」
か、かわいい。
今のえがお、めっちゃ可愛いよ。
うん、美少女だ。



