露出された陽の上半身。
「客が寄ってくる」
沙恵さんが興奮気味に喜んでいる。
――た、確かに……
こんだけイケメンで、鍛えられた肉体を惜し気もなくさらしてたら、いろんな人がよってくるし、ついてくる。
「金づる……」
そんな事をいわないでください!
罰が当たるよ!
「い、行ってきまーす」
とにかく客寄せに一番必要なやつを連れてあたしは“さくら”から出た。
「……看板貸せ」
「ん?いいよ。今日はあたしが持つよ」
「……貸せ」
命令かーい!
「重いだろ。お前弱いから」
そーいうことですか。
昨日、あたしから看板を取りあげたのも、重いものを持ってくれた、ってことだったの?
「あ、ありがとう、ございます」
あたしの口から出たのは敬語。
女の子扱いされたのが久しぶりだったから……。
お父さんについていくパーティーでは、あたしはレディでなければならないし、無理に演じるあたしを女の子扱いされてもうれしくもないし、それが当たり前だった。



