失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




大雅は花火代官だった。


「さっき部屋で分けてきたからな!線香花火は最後で、派手なやつからいけ!」


「はいっ!隊長」


もうノリノリ。


あたしも初めての花火体験に胸を躍らせていたから、大雅の言葉をすべてノリよく返していく。



裏の注意書きを大声で大雅が朗読した後、みんなではじめの花火に手を伸ばした。






火薬の匂いと、光、それにみんな。




煙い。





でも楽しい。




「花火ってこんなに楽しいんだね」


「だろ?」



横にいた大雅は二本の花火を同時にやっていた。


「な、なんと贅沢な……」



「お前もやってみろよ!」


「うんっ!」



全部初めての経験。



こいつらといたらあたしは、“初めての経験”が増えていく。



それが今は楽しみで仕方ない。