失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




みんなで仲良く浜辺に行けば、チラホラ花火らしきものをやっている人が見えた。



「あれ?」


「そう、あれだ」


大雅に言われるまで半信半疑だった。


――だって、


「綺麗……」


「だろ?」


「うん」


すごく綺麗だったんだもん。



聞いたことがある。



――夜の花だ



あれは、夜に咲く花だ。
パチパチと音をたて、綺麗に、可憐に、咲く。



思わず見とれてた。



「おらっ!こっちもやんぞ!」


大雅に言われるまで意識を飛ばしてまで花火に見とれていたことを忘れていた。



「今日はお前のためにやってやんよ」


偉そうだけど、


でもその言葉だけで、うれしかった。



“お前のために”



それだけで、いい。




今は。