失恋少女とヤンキーと時々お馬鹿




そしていきなり颯太君が座り込んでしまった。


「なになになに?まさか恐かったとか」


「てめぇじゃあるまいし、ちげぇよ」


そんなにあたしを馬鹿にしないでいただけると嬉しいんだが。


「あぁ、てめぇは女じゃねぇ」


「女だよ!」


失礼すぎるだろ。


「いや、見た目のみ女だけどよ、中身が、な?」


な?って言うなよ。
分かってるから。


「だから、俺、お前のこと避けるのやめた」


“やーめた”


負けそうになったオセロの板を引っ繰り返すみたいに楽しそうに言った颯太君。


「それはいいことなの?」


「さぁ?」





うん。
いいことだと信じてる。



たとえそれが、女として除外されたからだとしても。




「あと、“君”いらねぇから」


「颯太でいいの?」


「あぁ」


「あな、あたしも亜美って呼んでね」


「はいはい。…………亜美、帰るぞ」





「うんっ!」