しかし、これはめんどくさいことになってしまった。
「申し訳ないんですけど、予定がありますので私はここで、」
丁寧に断っただけだけど、なんとなくお上品に聞こえる。
「えー、いいじゃん。行こうぜ!」
しつけー。
「すいません。どうしても外せなくて……」
ふと横を見れば颯太君の姿。
目線だけで“助けて”と訴えたら、笑われた。
おいこら。
後で覚えとけよ。
「行こうぜ」
――仕方ない、最終兵器だ。あれがこんなところで役に立つなんて……
“らいらいてーのラーメン奢るから助けて”
「来々亭だと?!任せろ」
すげー、
あたし、目だけで会話したのに。
来々亭……それは颯太君の大好きなラーメン屋さん。
それをこの前大雅に聞いた。
「おにーさん。こいつゴリラみたいだからやめといたほうがいいよ。森に帰されるよ」
「うん、そうそ……は?」
「だからあきらめなさい」
変な人……、颯太君の登場により、ナンパのサーファーは帰っていった。
不思議な顔をあたしに向けて。



