｢後をつけてきたのか？｣

タクヤが呟く。

｢君の口振りでは、人目につく可能性が高いところに荷物を隠したように言っていた。
その割には廃墟を後にする君達には急ぐ気配がなかったのでおかしいと思ったんだよ。

さぁ、荷物を渡して貰おうか。｣

そう言うと、山下は手を前にだした。

｢ユウ、今は渡すしかない。｣

困った顔でタクヤのほうを見るユウにタクヤが悔しそうに言う。

ユウは頷くと山下に荷物を渡した。

荷物を受け取った山下は中身を確認する。

｢やっと、私のところに戻ってきた。
これからはずっと一緒だよ。｣

妻の手に語りかける山下の顔は狂気に満ちていた。

｢…さて、お別れの時間だ。｣

そう言うと山下が拳銃をユウに向ける。

｢な、話が違うじゃないか！？｣

タクヤが山下をにらみながら言う。

｢私と妻の幸せを邪魔する可能性がある人物を生かしておくつもりはないんでね。

…さよなら。｣

―パンッ

乾いた音が深夜の公園に響いた。