―深夜
男が指定した街の外れにある工場の廃墟にタクヤがやってきた。

廃墟の中にタクヤが足を踏み入れると。

「止まれ。」

後ろから声が聞こえた。
タクヤが振り返るとそこにはサラリーマン風の男性が立っていた。

「あんたが、依頼主なのか?」

タクヤの尋ねる。

「そうだ、荷物を渡して返して貰おうか?」

「その前にユウは無事になのか?荷物を渡すのはそのあとだ。」

「…こっちだ。」

男はついてこいと合図をすると、廃墟の奥へと歩いていく。
タクヤもそれについて行く。

「ユウ!」

廃墟の柱に縛り付けられているユウを見つけたタクヤが叫ぶ。

「タクちゃん!!」

ユウが返事をしてくる。
少しやつれているようだが、怪我などはしてないらしい。

「今ほどいてやるからな。」

タクヤがかけよって、ユウの縄をほどく。

「タクちゃん、ありがとう。」

ユウが目に涙を浮かべながらタクヤに抱きつく。