~杏子side~


今日は先生に出さなきゃいけない提出物を仕上げなきゃいけなくてすっかり帰りが遅くなった。


もう部活も終わる時間だから、アタシは部活には向かわずにそのまま帰る事にした。


下駄箱に向かうと、1人の男子が立っていた。



「…あれ?竜哉君?」

「おっせーな…」

「待っててくれたの?」

「ん、んな訳ねーだろ。たまたまだ、たまたま。」

「またまた~っ」

「と、とにかくどうせ会ったなら一緒に帰らねーか?」

「帰る!」

「ん。」


竜哉君が手を差し出した。


「?」

「手、繋ぐぞ。」

「う、うん。」


最近竜哉君は積極的に手を繋いでくれるようになった。

…彼氏でもないのに。



竜哉君と手を繋いだだけで心臓がドキドキする。


何気なく歩く通学路。

擦れ違う人達の目にはアタシ達はどういう風に映ってるんだろう?


「なぁ。」

「何??」

「お前が良ければ…なんだけど、その…公園とか行かね?」

「え、アタシは全然オッケーだよ?」



竜哉君は珍しく落ち着かないカンジ。

どうしたんだろうと思いながらもアタシと竜哉君は公園に向かった。


でも…

どこの公園に行くんだろう…?


アタシは竜哉君が進む方についていった。