「いや~今日は楽しかったね~!」

「ほんっと!超楽しかった~♪」

「てか宮、めっちゃ歌上手いじゃん!!」

「いや~、それほどでもぉ~」


ウチらはカラオケが終わって、地元の駅前を歩いていた。


トントン。


「ん?」

「センパイっ。」

「あ、神ちゃんか!神ちゃん、歌超上手かったよ!」

「センパイの歌声、めっちゃ可愛かったですよ。」


「へ?いや…えっと…」


あんまり急だったから何も言えなかった。

神ちゃんはもう何事も無かったように歩いてたけど。



みんなの会話も、車の走る音も遠く聞こえる。


…ドキドキしてる。

後輩の…たった一言で。


ブルンブルン。

車の…音!?



「センパイっ!危ないっ!」


グイっ。


いつもの神ちゃんの雰囲気からは想像出来ない、男の子の強い力でアタシは引っ張られた。


「あり…がとう…」

「センパイ、ボーっとしてたらダメですよ?」

「あ、うん…ゴメン…」



最近は弟の様な可愛い後輩としてしか見れなかった神ちゃんだったけど…。


今日、神ちゃんの男らしい一面を見てまた神ちゃんの事が気になりだした。


この胸のザワザワ感。

何か締め付けられている苦しさ。

この苦しさは何なのか。

アタシは知ってる。


…また好きになっちゃったんだ…。