「ぇ…そういうつもりはねーけど…言い方悪かった?」

「…ううん、気にしない」

違う…。

「俺は、優の近くに俺以外の男がいなくて安心するよ。優を取られる心配がねーからなっ」

「…」

まだ…ちゃんと伝えていないのに。

「んじゃ、またな。ちゃんとメールしろよ?」

あたしは帰ろうとする直紀の服を、思わず掴んだ。

「…ゆう?」

直紀は、目を丸くしている。

「ぁ、の…ありがと」

顔が赤くなるのがわかる。

でも…伝えたいから。

ちゃんと、あたしの事を考えてくれて──ありがとう。

「じゃ、じゃあね!」

「…おぅ! メールしろよな!」

あたしは、家へと駆け込んだ。