【完】愛する君と、



「近いから! 大丈夫だって!」


うん、近い。

ここから15分も経たないと思う。



「近くても、この辺は変な奴らが多いんだよ」

変な奴…?

「…はは、実際に今、変な奴があたしの手首を掴んでんだけど?」

「バーカ、俺はお前に惚れてんだよ」

…んなの知らないし。

でも…直紀は『変な奴』だけど…嫌な奴じゃない。

「…バカじゃないの」

あたしは、少し口元が緩んだ。