「優が言ったんだろ?」
直紀は、ニッと笑って言った。
あたしは、小さく頷く事しかできない。
「だったら、こうやって会いにきてもいい?」
あたしは、もう一度…小さく、頷いた。
一瞬、戸惑ったけど。
「よっしゃ!」
本当に嬉しそうに笑う直紀。
その表情を見ると、安心する自分がいた。
「…」
「んじゃ、出るか」
「ぇ…」
『まだ一緒にいたい』なんて言うのかと思った。
…自意識過剰すぎか。
「お前、いちよう受験生だろ? まだ春だけど、高校生は大変だからな!」
「…」
「コーヒーは俺の奢りでいいよ。ほら、出るぞー」
「ぇ、ぁ、ちょっと!」
もしかして…ちゃんと、あたしの事考えてくれてる?
そう思うと、少し、ほんの少し…嬉しかった。

