「優ちゃん、1万なんてよく持ってたねー…」

「お小遣い、貯めてたから。あたし、全然使わなくて…」


欲しいものが、ないから。



「ふぅん」

「ぁ、あたし、こっちだから…」

「そっか! ぁ、そうだ」

「?」

「直紀の事、頼むよ!」

「ぇ…」

「直紀が一人の女の子に、こんなに惚れ込むなんてほんと初めてなんだ。
大学の奴らもみんな驚いててさ。まぁ、からかわれてんだけどっ」

「…」

「あいつ、優ちゃんがいないと、この世の終わりみたいな顔してんだよ!
それはそれで見るの楽しいんだけどさ♪」

「はは…」