「お嬢ちゃん、これはどうだ?」

「ぇ」


差し出されたのは、似たようなデザインの時計。

「全くの別物だがな。まぁ、1万でちょっと高いけどな」

「…これ、ください!」

「よっしゃ!」

「優ちゃん、それにするの?」

「ぁ、うん…。あの、さっきの時計…とっといてもらえませんか?」

いつか…お金が貯まった時に、


直紀にあげたい。



「わかった。ほいよ、直紀によろしくな!」



ニッと笑ったおじさんは、どこか…直紀と重なった。