「高いもの買ってもらっても、使わないもん。だから、普段使える物でいいの」

「…そっか。んじゃ、買いに行きますか」

そう言い、俺はそっと優の手を握った。

…本当は、怖かったけど。

この前みたいに、『触らないで!』って振り払われたら、立ち直れない。

けど…優は、小さく…微笑んだ。


そんな短い時間が、とても、幸せだと…心から思ったんだ。



その後、ピンク色の水玉模様のシャーペンを買って、優を家まで送った。


「じゃあ、またな。メールするから」

「…うん。またね!」


このとき、


初めて



優が俺に笑顔を見せたんだ──…