「好きな奴とかいねーの?」 「…いるよ」 「ぇ、マジ?」 「うん…本気で、好き」 「ふぅん」 俺は少し、口元が緩んだ。 こうやって口が悪くても、やっぱ女なんだ、って思った。 「…バカ直紀」 「ぁあ?」 「なんでもないですよーだっ! じゃあね!」 伊藤はSuicaで改札口を通った。 「ばいばーい!」 「おぅ!」 大きく手を振る伊藤に、俺も手を振った。