「井上、いる?」
「ぁ、雅人?」
坂本は、「まさとー」と井上を呼んだ。
「ん、なに?」
「はい、これ」
あたしは2人の手に、600円ずつ渡した。
「…なに、これ」
「なにって…明石焼のお金。さすがに同級生にお金を貸してもらうのはちょっとねっ」
「別にいいぜ…?」
「気にしないで! んじゃ、用はこれだけだから」
「あぁ、橘ストップ」
あたしが部屋に戻ろうとすると、井上に呼び止められた。
「…なに?」
「男が泊まっているところを歩き回るのは危ないだろ?」
「いや、平気だけど…」
ここまで一人で来たし…?

