退屈だ。

５時間目の授業が終わって､漸く昼飯を食べた後の気だるい眠気を解消すべく休憩時間に入った｡早速といっては何だが､俺は机に突っ伏して、惰眠を貪ることにした｡

したのだが｡

「ナオフミ～今日終わってからどうするー？あ、マージャンする？マージャン！今日は俺とお前とタクミとユタカで､ユタカん家でやろうかってなってんだけどさ！」

俺が既に面子にはいってるじゃん｡

「・・・おーじゃあやるか。小遣い稼ぎに｡」

そういって顔を起こしてそいつ---アキラに視線を合わせてにやっと笑う｡

「おっ､ちょーしのってんなこの前１万勝ったからって！いつまでも､一人天下だと思うなよ!何故なら俺は日々ネットで鍛えているからな！！もう場の流れ？それがもう読めちゃうんだよね。俺ギャンブラーに向いてるかも。」

「止めとけ、海に沈むぞ」

「馬鹿野郎！！狂気の沙汰に足を突っ込まないでどうやって勝利を得るというのだ君は！」

「・・・漫画の読みすぎだな」

「こいつ、俺ん家にあるあの漫画全部貸せってこの前持って帰ってさ、」

教室に入ってきたユタカがタクミを連れてこっちにきて､そんな情報を提供した｡

「それってあれか？鼻と顎がすんごいとんがってるやつ？」

「そそ！俺もアキラの前にあれ借りたけど､たしかにあれは熱い｡台詞全然無いからあっという間に読み終わるしね。」

「ナオフミも俺の次貸してやるよ！一回読んどけって！」

「いや、あれ俺のな」


四人揃った途端騒がしくなる俺の席｡退屈ではなくなったから､俺としては皆がこの机の周りに集まってくれるのは嬉しい。


そんな時間は何故か一瞬｡十分休憩の終わりを告げるチャイムが鳴り響く｡次は現代史｡静かに待っていないと説教から始まるこの教師を恐れ、皆例外なく、慎ましい姿で各自の席に着き、待機した｡