いや、しかし、今日も快勝だった。
あいつら口ばっかだから、おりんのもあがんのも、振り込ませるのもチョロイチョロイ。
学校での鬱憤もバッチリ解消出来たってもんだ。

結局、麻雀をやったわけだが、どいつもこいつもまーすぐからかってきやがる。

対面がアキラ、下家がタクミ、上家がユタカだった。

「しかしナオフミくぅーん。なかなかモテるじゃなーい。」

アキラが中を切る。
場は南3。親は俺でトップ目。
中央から出てきたから今回こいつはノーマーク。理牌する時、こいつは自分の右手側に字牌を置く。今は7順目、奴の風牌は既に3枚見え、他の役牌も2枚見え。ということは無意味な字牌で、半分以上手に残っている。張っていても安目だ。

ユタカが怪しいが、この点差なら、最悪振り込んでもハネでなければ逆転はない。

「ほんと、うらやましーわーあこがれるわー」

タクミが1ピンを切る。…ふむ、そこではなかったか。となると…俺は話を聞き流して牌をつもる。お、きたきた。テンパイ。…まぁ、とりあえずダマで。俺は1ピンを切る。

「いーよなー、スギサワさん。かわいーよなー。」

ユタカが2ワンを切る。奴は張ってるな。

「…あのさ、別になんもないからな?全部偶然起きたことだし、後でクラスの女子に冷たくされるよりはいいだろかばった方が。」

アキラとタクミ、共にツモ切り。今回奴らはついてない。

「おまえはそーでも、スギサワさんがどー思ってるかだろ。」

「あれ、絶対お前のこと好きだよ?」

「…はぁ?ないない。男と喋るの苦手なんだろ。」

「そんな子が、お前の様子見て、優しく微笑むか?」

「いーなー。」

淡々と、順目は進む。ユタカ以外はわりと喰い気味だ。そんな重要なことかね。

「まぁ…確かに…でもあれは元々俺が…、あ、ロン。5200。」

「ぎゃあああああああ!!!!てめぇ!!俺からスギサワさんだけでなく、金までとるのかー!!」

ユタカが振り込んだ。やれやれ。折角オーラス親だというのに。

「知るかよ、俺のものでもねーよ。だが金はいただく。」

「ば、倍プッシュだ!」

「負けてんのにかよ。」




何てことがあった。
どっちかというと、苦手なんだがなぁ。スギサワ。
まぁ、好き嫌いを問われると…はぁ、やめよう。

どうやら今日はちょっとあいつらのせいで舞い上がってるらしい。好意を持たれるというのは、悪くない。

が、俺は知っている。こういうものの九分九厘が、勘違いなのだ。
明日になれば、それもわかる。俺はもうそういうのには関わらない。例え好意が真実でも、そうでなくても。

恋愛感情など、そういうものだ。