彼が帰宅した頃には、もう太陽はすっかりその身を沈め、月に勤務を交代していました。輝き始めた星々は異なった色に眩しく主張しておりましたが、残念なことに俯き気味に歩いていた彼がその姿を見ることはありませんでした。
薄暗がり。部屋の奥にいけばいくほど彩度を失っていく光景をじっと見つめ、彼は短く息を吐くと、自分のすぐ左手にあるスイッチを押し、照明をつけました。「・・・ただいま」と小さくこぼして。
買ってきたコンビニ弁当を袋からだし、さらに冷蔵庫から麦茶を取り出しましたが、コンビニで飲み物を買ってきていたことを思いだし、麦茶を戻して冷蔵庫を閉じました。習慣とは恐ろしいものだと彼は思いました。普段コンビニで飲み物を買わないからです。
ふ、と携帯をみると「新着メール三件」と筐体の外側にあるディスプレイに表示されていました。仕事の催促か、依頼か。そう判断した彼は、メールを見ずに夜ご飯を食べ始めました。
割りと閑静な住宅街となっているこの辺りですが、それでも不思議と隣家の騒々しい音や、車の行き交う音などは聞こえてきませんでした。それなりに稼いだ賜物です。
彼は少しだけ、携帯を気にしましたが、また短く息を吐き、ペットボトルを手に取りグビッと一口飲みました。
部屋のなかで響くのは、彼がご飯を食べる音と、がさごそとみじろぐ音。彼の音。それだけです。
静かな、とても静かな夜でした。
薄暗がり。部屋の奥にいけばいくほど彩度を失っていく光景をじっと見つめ、彼は短く息を吐くと、自分のすぐ左手にあるスイッチを押し、照明をつけました。「・・・ただいま」と小さくこぼして。
買ってきたコンビニ弁当を袋からだし、さらに冷蔵庫から麦茶を取り出しましたが、コンビニで飲み物を買ってきていたことを思いだし、麦茶を戻して冷蔵庫を閉じました。習慣とは恐ろしいものだと彼は思いました。普段コンビニで飲み物を買わないからです。
ふ、と携帯をみると「新着メール三件」と筐体の外側にあるディスプレイに表示されていました。仕事の催促か、依頼か。そう判断した彼は、メールを見ずに夜ご飯を食べ始めました。
割りと閑静な住宅街となっているこの辺りですが、それでも不思議と隣家の騒々しい音や、車の行き交う音などは聞こえてきませんでした。それなりに稼いだ賜物です。
彼は少しだけ、携帯を気にしましたが、また短く息を吐き、ペットボトルを手に取りグビッと一口飲みました。
部屋のなかで響くのは、彼がご飯を食べる音と、がさごそとみじろぐ音。彼の音。それだけです。
静かな、とても静かな夜でした。


