随分と気まずい6限を、天井に無数に空いている、目に見えなくもない窪みを数えることでなんとか乗りきった。

10分休憩。俺はさんざんこけにされ。
まぁやつらにはチョップをしておいたので別にいいのだが、教室中の生暖かい視線。視線。視線。あぁ、集団って怖い。

終了のチャイムで完全に気が抜け、ぽけーっとカーテンの隙間から見えるギンギラギンにさりげない陽光と流れる雲を見つめていたところ、肩をちょいちょいされた。

ふ、と顔をそちらに向けると、スギサワだった。ぶっちゃけ、ちょっと気まずいので今日はスルーしたかったんだが。頭をポリポリしながら「どうかした?」とからだごと振り向く。出来るだけ、素っ気なく聞こえるように。

スギサワは胸の前で手をぐっと握りながら、ちょっと俯いて声を発する。どうやら先程の件で心を痛めているようだ。

「あ、あの・・・ごめんね?私のせいで怒られちゃって・・・」

あぁ、こいつ、落ち込んでるときは眉毛ふにゃってなるんだな。

「あ、あぁ。いいよ気にしなくて。怒られるのはいつものことだし。」

普段通りに振る舞ったつもりなのだが、動揺を隠すのは難しい。どこかぎこちない返答となってしまった。

っつーか、なんでいっつも俺が一番怒られるんだ?そもそも俺はなにもしてないのに、その場にいたからって理由だけで。理不尽だよ、世の中ってやつは。どうしたものか。まぁ、止めないのが悪いのか。監督はいつだって責任を負うものだしな。

「ううん。だって、私がそわそわしてるナオフミ君を見て、珍しいなぁってなんだかおかしくなっちゃって、つい笑っちゃったから・・・ぁ。」


「・・・解説ありがと。まぁ、もとはといえば俺が変な事言ったのが・・・いや、もうやめようぜ・・・」

なんだかやるせなくなってきた。俺がそういうと、スギサワは、すでに若干赤く染めていたほほをさらに真っ赤にして、「あぁ、うん、そ、そうだね。なんか、ごめんね?」


そしてホームルームが始まった。
やっぱり話は馬耳東風。どうしたものか。まったく。