風のない日だった。 見上げると、空が燃えている。 ―空だって、私の心を理解してるのに。 携帯電話で写真を撮ろうと、鞄をあさった。 太陽の動きは、目に見て取られるほど早い。 結局、携帯電話が鞄から取り出されることはなかった。 見つからなかったのではない。 途中でやめたのだ。 歩きながら夕日を見た。 機械の中より、自分の心に残したかった。