月物語 ~黒き者たちの宴~




スキップし出しそうな彼は、鏡台をあさり、また戻ってきた。



櫛を手にしている。



「………。」



何故か楽しそうに髪を溶いてくれた。



「あなた、名前は?」



「花 陽春(か ようしゅん)にございます。」



―かようしゅん?
どこかで聞いた響きだ。



「じゃあ、陽春。
私はあなたとは寝ないわ。」



礼は、きっぱり断った。



陽春は、再び青ざめる。