月が半分欠けた晩のことだ。
今宵は光燐も彩夏も現れない。
どうしたのだろうと思っていた矢先にやってきたのは、『花』だった。
一瞬不審者かと、備え付けてある剣を構えた。
もちろん、剣技は習っていない。
だが、どうも彼には殺気がない。
日本にいた時の方が、よっぽどそれらしきものを放つ者がいた。
礼は、無理にでも緊張感を保つ。
しかし、この『花』がとんでもないことを言ってのけたので、緊張の糸はぷっつりと切れてしまった。
「…―で、あなたは私とやりに来たわけ?」
「左様にございます。」
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