「いらっしゃらないからこそ、こうなったのであろう。」 「主上は、朝議の後にお見えに。」 「わしもできるだけのことはやってみる。 くれぐれも他の者には悟られるな。 もちろん、東苑にも。」 「しかしあの方は…」 そこまで言って辞めた。 自分の甘さが主上を危険に晒すことになる。 彩夏は赤天殿を出た。