「観奈に決まってんだろ?なんでいきなり俺達のクラスに転校することになったんだよ?俺、今日の朝聞いてビックリしたぜ!」







風間はそう言って、また机をバンッと叩いて俺に顔を近づけてきた。







その生徒の名は風間貴明。(カザマタカアキ)
204号室の住人で、この3年D組の副室長。








蘭藤荘は変わり者ばかりだが、彼だけが唯一の『普通』…というのもおかしいのだけど、とにかく世の中にいる一般的な男子高校生と言って間違いはないであろう。








風間は『普通』と言われるだけあり、蘭藤荘の人たちの真の姿や人間関係はほとんど知らない。ある意味、知らなくて幸せ…だな。うん。








ちなみに風間はこの北洋高校の生徒会副会長でもあり、俺も生徒会に所属している。








ああ、風間だけは普通の友達同士で良かったと俺はいつも神様に感謝しています。








「い、いや~。実は俺も今朝知ってさ~。びっくりしたよ。」








さすがに昨日のいきさつは風間にはとてもじゃないけど話せないよな(; ´_ゝ`)








せっかくここまで知らなくても幸せなんだから、それを壊すことはしたくない。








「だろ~!…俺なんて今日サッカー部の朝練の時に早瀬先生から聞いたんだぜ。なんでも理事長と親戚で、特別に学校に通えることになったんだってな。」








『なんでも…』の後は小声で話してきた風間。








やはり観奈が理事長の親戚で澤原財閥の令嬢ということは周りには内密ってことなのかな。








「う、うん。そうみたいだね。」








俺はとりあえず、風間の話に合わせる事にしたのだが。








…そういや、風間はヤマト兄から話を聞いたって、そのヤマト兄本人はいったいどこまで話を知ってるんだろう。








その辺把握しておかないと、今後俺もどこまで話していいかわかんないし、困るな…。