「…ああ。ちゃんと彼女に別れを言いに行ったよ。…って今さっき言ったばかりだけど。」







「ほぉ。で、観奈ちゃんはなんて?」








「……。」








ヤマト兄の質問に圭先生はしばらく黙り込んだ。







2人の話の内容は、『観奈との別れ話』についてのようだ。







「それがさ。『あ、そうなんですかー?わかりました。』だってさ。」







やがて圭先生はそう言って、ダルそうに床にゴロンと寝転がった。








「…そうか。てか、思ったよりあっさりだな。」






ヤマト兄が感心するように言うと、圭先生が勢いをつけて身体を起こし、






「だろ〜。さすがに2年以上関係あったわけだし、泣きつかれるかなと思ってた俺的にも『え?そんだけ』って思ってつい、『え?本当にいいの?』って聞いちまったんだよ。」







「は?お前から別れを言っておいてそれ聞いたのかよ?」







ヤマト兄が聞いたその瞬間、圭先生はピッとヤマト兄目掛け指差した。







「だってそうじゃん!普通、突然『やだ!別れたくない』じゃん?」








「まぁ…」








圭先生に指摘されると『それはそうだよな…』とヤマト兄は顔を渋らせる。








「で、そしたらアイツなんて答えたと思う?『え?先生がそう思うならしかたないじゃないですか。』ってさ。」







「うー。たしかにな。」








「…でも、俺的にはもう少し訳を聞くなりしてほしかったわけで…。」







圭先生は少し気まずい顔をしては、最後には口ごもる。







「あーようするに止めてほしかったんだな。」







ヤマト兄はそんな圭先生の本音を察したようだった。