春夏秋冬物語


ぐいぐいと雪夜さんに腕を引っ張られ、近くのレストランに連れ込まれる。
窓際の席に向かい合わせで座った。

「何食べる?」
「えっと、とりあえず腹保ちするやつで」
「じゃあステーキでいい? すいません、ステーキ二つ」
「ちょ、高いっすよ? もっと安いので……」

勝手に一番高いやつを注文し出した雪夜さんを慌てて止めようとする。
すると雪夜さんはにっこり笑った。

「いいのよ。無理矢理付き合わせたんだし、それに私結構リッチなのよ?」

いや、ファミレスに入る時点でリッチじゃないと思いますよ? 俺が言えた義理じゃないけど。
ともかく、あっつあつのステーキが二つ運ばれてきた。オリジナルソースの焼ける匂いが食欲をそそる。マジで旨そうだなこれ。

「じゃあいただきます」
「いただきます」

雪夜さんの後に続いて食べ始める。