春夏秋冬物語


顔を見て固まってる俺に、雪夜さんは訝しげな表情で言った。

「どうなされました?」

ハッとする。
とりあえず聞いてみた。

「あ、俺のこと覚えてますか?」
「いえ……」

やっぱりな。
五年以上経ってるし。

「本田、冬生です。五年前くらいにぶつかった……」
「冬生…………、あ!」

雪夜さんは目を見開いた。
覚えててくれてたんだ……。

「思い出しました? 雪夜さん」
「ええ。びっくりした……」

雪夜さんはまだ目を見開いている。
そりゃ前は小せえガキだったからな。
ただ顔立ちはあんまり変わっていないはずなんだが……。

「よく見ると変わってないわ……」
「そっすか」

変わってないらしい。
君たち童顔とか言うなよ。
言葉が合ってないとかも言うなよ。
傷つくからな。
何回女顔って言われたと思ってんだ馬鹿。