春夏秋冬物語


ぐだぐだな感じで今日の授業は終わった。

帰りに稔の希望でドーナツ屋に寄り、男四人で甘ったるいドーナツを食べた。
俺は甘いのは好きじゃないのだが、稔に可愛くおねだりされちゃ折れるしかなかった。

せめてもの救いに、コーヒー(もちろんブラック)を飲んだ。
くう、やっぱ苦味が一番だぜ。

そして、佐久原、ニノ、稔の順に別れ、一人で帰っていた。
この時はまだ後に起こることなんざ、予想できなかったから、今日の晩飯何かなーなんてつまらないことを考えていた。

ある場所に差し掛かったとき、俺の脳裏を昼間の話が掠めた。

「んな訳ねえか」

あんなに待っても会えなかったあの人に、今日偶然会うなんてことはないだろう。

でも、もしかしたら……という淡い希望を持ちながら、いつもよりペースを落として歩いた。

と、誰かとぶつかった。