「なぁ璃音」

 バスの隣で陸玖が呼ぶ。

 「なに?」

 …?

 「んっ」

 陸玖の方を向くと唇に温かいものが触れた。

 「なっ何するの?」

 私は、頬を染めて小声で叫ぶ。

 「キス」

 外を見て何もなかったように振る舞う。

 一人で赤い私はどうしたらいいのよ!

 会話ができなくなった私。

 「ち、千優さんは良かったの?」

 一番最初に陸玖と乗りたがっていた。

 「なに?そいつと乗って欲しかったの?」

 少し残念そうな顔をする陸玖。

 「ち、違っ」

 千優さんが一緒に乗ろうって言ったとき、ホントは少し嫌だった。

 これが何の気もちなのかはわからないけど…。

 「じゃあなんでそんなこと聞くわけ?」

 「え、えっと…」

 千優さんはきっと陸玖のことが好きだと思ったからなんて言いにくいよ…。

 「言わなきゃもう一回キスな」

 顔を近づける陸玖。

 「ふぇ?」

 また頬が染まる。

 逃げられない状況だよね…?

 「5…4…3…」

 「ちょ、ちょっと」

 「2…1…」

 「言うから言うから!」

 「…0」

 「んっ」