「冗談やめてよ…」

 小学生が高校生を好きになるわけないじゃない?

 「本気…」

 耳に息がかかる。

 「ちょ、ちょっと離れて」

 離れようとしても力が強くて離れられない。

 「離さない…」

 わざと息を吹きかける。

 「やッ止めて」

 顔が赤く染まる。

 「はいはい…。璃音さんは…五人の秘密…知りたい…?」

 え…?知りたくない…って言ったら嘘になるかな…。

 「今日で最後だし…教えてあげる…」

 玲於君は、ポツポツ話し始めた。

 「空夜は…愛人との間にできた子だから…育てられないから…。

  お兄ちゃんは…点数が悪いテストを…一回とってきただけで…。

  陸玖は…女癖の悪いお父さんに…捨てられて…。

  龍は…虐待にあって…。

  奈桜は…親の育児放棄が原因で…。

 一人ひとりいろんな理由で施設行き…。

 その施設から…預かってくれたのが…神山家の人なんだ…」

 そんな過去が…。

 「玲於君は、なんで知ってるの?」

 普通の人は、知らないはずだよね?

 「お父さんから…聞いた…。

 皆…恥ずかしいから…隠したいみたい…。

 僕が…お兄ちゃんに頼んで…シカトしてって頼んどいたから…」

 バンっ!!

 扉の開く音がした。

 「離れろ!」

 見ると目の前には悠羽が立っていた。